transparence2006-02-25

セザール賞の授賞式(@シャトレ座)をテレビで見る。映画界の不定期労働者達(intermittents du spectacle)が舞台を占拠して待遇改善を求めるアピールを行った為に、開始が20分ほど遅れる。授賞式の途中にもその件で客席から発言をする人がいたりして、少々物々しい雰囲気。その一方で、賞の発表に挟み込まれる能天気な「寸劇」は無駄としか言い様が無い。カンヌの閉会式のように賞の発表のみで充分だと思うのだが・・・。今年は司会がヴァレリー・ルメルシエであったことも「お遊び」の要素を強めていた。初めの方は面白く聞いていたものの、段々と食傷気味になってしまった。
受賞結果の方はほぼ下馬評通りだと言って良いだろう。10部門でノミネートされていた『De battre mon coeur s'est arrete(真夜中のピアニスト)』が、作品・監督・助演男優・新人女優・撮影・音楽・脚色・編集という8部門を制した。ロマン・デュリスが主演男優賞を逃した以外は、ほぼ完勝と言えるだろう。『レスキーヴ(L'Esquive)』が制した昨年に比べると驚きは皆無に近かった。ただ、これまで大衆好みの大作が受賞することが多かったことを考えると、『若き警官』(ボーヴォワ)『ある息子』(ダルデンヌ兄弟)『隠された記憶』(ハネケ)『ガブリエル』(シェロー)といったフィルムがノミネート作品に並んでいるのは健全なことである。取り分け、『真夜中のピアニスト』と『若き警官』の二本は、ジャンル映画と作家映画とが共存しえた見事なフィルムであり、フランス映画の底力を感じさせてくれた。またこの二本は共にWhy Not Produntionsの製作である。デプレシャンやポダリデスのフィルムも製作し続け、ソルボンヌ傍に映画館(Pantheon)を持つこの製作会社の重要性も特筆すべきであろう。
主な賞の結果は以下の通り。
作品賞/『真夜中のピアニスト』
監督賞/ジャック・オーディアール(『真夜中のピアニスト』)
主演男優賞/ミシェル・ブーケ(『シャン・ド・マルスの散歩者』)
主演女優賞/ナタリー・バイ(『若き警官』)
助演男優賞/ニール・アルストルップ(『真夜中のピアニスト』)
助演女優賞セシル・ド・フランス(『ロシアン・ドールズ』)
新人男優賞/ルイ・ガレル(『Les Amants regulieres』)
新人女優賞/リン・ダン・ファン(『真夜中のピアニスト』)
新人作品賞/『ダーウィンの悪夢
脚本賞/『行け、生きろ、生まれ変われ』
外国映画賞/『ミリオン・ダラー・ベイビー』