2005年映画ベスト10

transparence2006-01-01

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
1.『王たちと王妃(キングス・アンド・クイーン)』(アルノー・デプレシャン)
2.『Les Amants reguliers』(フィリップ・ガレル)
3.『ミリオンダラー・ベイビー』(クリント・イーストウッド)
4.『ミステリアス・スキン』(グレッグ・アラキ)
5.『傷』(ニコラ・クロッツ)
6.『Don't come knocking』(ヴィム・ヴェンダース)
7.『マッチ・ポイント』(ウディ・アレン)
8.『Last Days』(ガス・ヴァン・サント)
9.『バトル・イン・ヘヴン』(カルロス・レイガダス)
10.『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(青山真治)
デプレシャンを二年連続の首位にしてしまったのは、劇場で再び見直し、DVDとシナリオ本を買うことで、改めてこのフィルムの特別さを認識したことが第一だが、今月末の「カイエ週間」での上映後の日本での一般公開の目途が立っていないという信じがたい現実に抗したいという意味もある。ベスト10の内、イーストウッド以外の9本は日本での一般公開がまだ為されていないという事実には愕然とせざるを得ない。新作映画がまともに観られないほどに日本の映画環境は劣悪だったのだ。
とにかく「父性」をテーマにした作品ばかりが目立った年であった。(イーストウッドヴェンダースジャームッシュダルデンヌ兄弟、アンダーソン・・・)。どこか現代映画全体が単調な反復運動に陥っているかに見える中で、新たな可能性を切り拓く力を感じさせたフィルムが存在したのは嬉しい事だ(アラキ、クロッツ、レイガダス、青山)。ただ、そうしたものが評価されにくいというのも事実であり、そうした現状を端的に示していたのが、粒揃いながらもどこか釈然としないものが残った去年のカンヌでの受賞結果であったと言えよう。また、とんでもない「音の映画」(ヴァン・サント、レイガダス、青山)と出合ったことで、上映設備の優劣にも敏感になった一年だった。