ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団シャンゼリゼ劇場(1月17日)
ジョルジュ・プレートル(指揮)
ブラームス交響曲第三番
ストラヴィンスキー/「火の鳥組曲
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第二組曲
パリでは久々のウィーン・フィル。今シーズンはシャンゼリゼ劇場でこのオケを聴くという至福が二度しかないのが残念だ。
この日のコンマスはウェルナー・ヒンク。その後方には人気ブログ「K&Kの生活」の和樹・ヘーデンボルグさんと 純ケラー氏という日系人二人が並んで弾いていて、また女性奏者の姿も目立つ。指揮は80歳を過ぎても全く衰える気配の無いプレートル。ブーレーズと並んで、最も尊敬を集めるフランス人音楽家と言って良いだろう。既にパリ管や仏国立管との演奏でも感じた事だが、とにかく彼の指揮は緩急の変化が頻繁で、それが巧く行けば非常に味わい深い演奏になるのだが、下手をするとちぐはぐなものになってしまい、そういう意味でもスリリングだ。前半のブラームスで言えば、第一楽章はオケと少々噛み合わない印象もあったのだが、指揮棒を持たずに振った第二・三楽章は、しばしば驚くような美しいフレーズに出会ったりして秀逸。後半の「火の鳥」はとにかくエネルギッシュで、ウィーン・フィルの機能性の高さ(ベルリン・フィルに匹敵しうる)が発揮されていた。昨年の改装工事で音響が向上したシャンゼリゼ劇場を圧倒的な響きで満たしていた。
このコンビの白眉であったのは、やはりラヴェル。柔らかくしかも洗練された響きの豊穣さには魅了されました。アンコールにはシュトラウスポルカブラームスハンガリー舞曲が演奏され、観客が熱狂的な拍手を送る中、帰宅が早いので有名らしいウィーン・フィルはあっけなく舞台を去って行きました。次回のパリ公演はハイティングの指揮で六月にモーツァルトショスタコーヴィッチが演奏される予定。