フランス映画祭レポート(1)

主にゲストのアテンドを担当する私の初仕事は、例年通り成田空港でのフランス代表団の出迎えだ。今年の映画祭事務局が置かれる六本木のグランド・ハイアット・ホテルにて軽い打ち合わせの後、ルノーに乗って早速成田空港へ出発。
車中で出来上がったばかりの映画祭プログラムに目を通す。何よりも驚かされたのが冒頭にあるユニフランスのメネゴーズ会長の挨拶だ。「本映画祭は一時的に横浜を離れます。フランス映画祭を誕生させ、13年ものあいだフランス映画に対し誠意を尽くして下さった横浜。私は来年、この街と再会することを心から望んでおります」。例年6月に横浜で開催されていたフランス映画祭を、3月にしかも東京と横浜で開催すると決めたのはユニフランス側の一方的な事情による。最新フランス映画を日本の映画ファンに紹介すると同時に、フランス映画祭はフィルム・マーケットというもう一つの顔を持っている。マーケットということで言えば、世界最大のフィルム・マーケットである4月のカンヌ映画祭の直後に日本で映画祭をするのは、映画を売る立場からはあまり意味が無いと言うのだ。映画ファンの立場から言えば、カンヌで上映されたフランス映画が直後に観られるというのがフランス映画祭の魅力なのだが、そうした事情はユニフランスにはお構い無しらしい。ともかく、一方的に横浜市に3月開催を提案し、それが叶わないとなると(既に昨年6月に開催しているので、3月では同じ年度内になってしまう)、横浜を離れ、東京・大阪で開催することを決めてしまった。このように横浜に対してかなり失礼な振る舞いをしながらも、「来年は横浜で」としゃあしゃあと述べてしまうのって凄い話である。
空港での出迎えは毎年の事なので手馴れたもの。ナターシャ・レニエ、カトリーヌ・フロー、サラ・フォレスティエ、ブノワ・マジメルクロード・ルルーシュといった面々が続々と出てくる。アーティスト達は何便かに別れて到着するのだが、今日のこの便が一番の大所帯なのだ。40人のフランス代表団を無事にリムジン・バスに乗せて、初仕事は終了。
六本木に戻ってからは、夜のオープニング・セレモニーの受付の手伝いまでは特に仕事も無かったので、久しぶりに六本木ヒルズ青山ブックセンター界隈を散策。
今年のオープニング・セレモニーは招待客のみの公開。こういうのは去年までの映画祭のイメージからするとかなり違和感がある。会場の席数が減ったことも関係するのだろうが、スポンサーや関係者の方ばかり向いている気がするのはいただけない。ちなみに、少しだけ覗いたオープニング・セレモニーは、司会進行のお粗末さもあってイマイチ。まあ横浜から六本木に移ったことで、何かと不慣れな部分があるのは仕方の無いところ。
いよいよ明日からは本格的に上映スタートだ。