フランス映画祭レポート(2)

この日も最初の仕事は、朝の空港でのゲスト出迎え。当初はセシル・ドゥ・フランス一人だけを迎えに行くと聞かされていて緊張していたのだが、結局、『オーケストラ・シート』で共演しているダニ(トリュフォーアメリカの夜』『逃げ去る恋』での演技が忘れがたい)が昨日飛行機に乗り遅れたので今日の到着になり、加えて『ヘル』のブルノ・シシュ監督と某監督の友人という女性(詳細は不明)の合計四人になった。無事に四人を発見し、ルノーの車二台に乗せる。普段着のセシル・ドゥ・フランスは気さくなどこにでも居そうな女の子に見える。話している様子は『オーケストラ・シート』のイメージに近い感じ。
この日は交通渋滞がひどく、六本木到着までに二時間もかかってしまった(ずっとタバコを我慢していたダニだったが、芝浦辺りで我慢できなくなり、結局車内で一服)。そのせいで、ホテルに到着したら、すぐに別の車に乗り換えてお台場に向かうはめに。期間中、私は基本的にお台場に常駐して、舞台挨拶&サイン会にやってくるゲストのアテンドをするのだが、この日の最初の上映作品である『何事も誓うなかれ』の監督とプロデューサーと一緒にお台場に向かうことになっていたのだ。
お台場ではシネマ・メディアージュの三つの劇場を使って上映が行われる。そのうちスクリーン3での上映にはゲストは登壇せず、Q&Aとサイン会が行われるのはスクリーン1と2での上映である。劇場周辺には映画祭の垂れ幕が並んでいたり、作品のポスターなども飾られている。しかし、あくまでもシネコンの一部を借りての開催なのであって、横浜のように、普段は会議場だが期間中は急に映画祭空間に変貌する、というようなお祭り気分は希薄である。このあたりに今年の映画祭最大の問題点があるように思う。
初日の上映だが、残念なことにお客さんの入りは良くなかった。セシル・ドゥ・フランスが登場した『オーケストラ・シート』でも満席には程遠かった。『恐怖のバランス』に至ってはガラガラと言って過言ではなかった。これではゲストが気の毒である。お台場という立地の問題、急に3月開催となったことに伴う告知不足など、原因は様々に考えられる。ただ、横浜であっても例年平日の観客動員に苦労していたことも事実である。それだけを見てお台場開催は失敗と即断することは避けたいと思う。
会場は満員にはならなかったが、セシル・ドゥ・フランス、カトリーヌ・フロー、アンヌ・コンシニュイといったなかなかの女優陣が来場した事もあり、Q&A、サイン会はまずまずの盛り上がりを見せ、滞りなく初日が終了。ただ、短編映画特集だけはQ&Aが長引いた結果、劇場の閉館時間の関係でサイン会が開催できなかったことが残念だった。