ワーグナーワルキューレ』 @シャトレ座
クリストフ・エシェンバッハ(指揮)国立パリ管弦楽団
ロバート・ウィルソン(演出)
エンドリク・ヴォトリヒ(ジークムント)
ステファン・ミリング(フンディング)
ユッカ・ラシライネン(ヴォータン)
ペトラ=マリア・シュニッツァー(ジークリンデ)
リンダ・ワトソン(ブリュンヒルデ
藤村実穂子(フリッカ)
昨年10月以来上演されてきたウィルソン演出の「指環」@シャトレ座が、まとめて再演されている。今回の『ワルキューレ』はドミンゴジークムントを歌うことが話題だったが、稽古不足等を理由にキャンセル。代役はエンドリク・ヴォトリヒ。バイロイトで『パルジファル』などを歌っているようだが、声に力強さはあるもののヘルデン・テノールらしい輝かしく張りのある声質には程遠く、ペトラ=マリア・シュニッツァーの強靭なジークリンデに完全に力負けしていた。10月に聴いた時には左程感心しなかったラシライネンだが、この日は素晴らしい出来で「告別と魔の炎」の場面には感動。藤村実穂子は相変わらず見事で、沢山のブラボーを浴びていた。リンダ・ワトソンはまあまあ。
エシェンバッハ指揮のパリ管が奏でるワーグナーには毒や魔性は微塵も感じられない。ただ、艶やかで厚みのある弦は素晴らしいし、木管も充実していた。それだけに金管に重みが感じられなかったのが残念だ。どうもピットに入るとエシェンバッハからは鬼気迫るような個性が消失してしまうようだ。ワーグナーというより、そもそもオペラ向きの指揮者じゃないのかなあ。