カンヌ映画日誌(11)

transparence2007-05-26

いよいよ映画祭の公式上映最終日。パレの中も閑散としている。上映数も数えるほどで、もう何を観るかで頭を悩ませる必要も無し。明日にはアパートを引き払わなければならないので、午後は荷造りと片付けに追われる。
エミール・クストリッツァ『Promise Me This』(2007)[☆☆](コンペティション
少年が山村から都会に出て、お嫁さん探しをするという物語の大枠はあるものの、とにかく全編が騒々しいリズムを伴うクストリッツァ・ワールドで満たされている。映画祭の終盤、しかも早朝八時半から観るには濃すぎるフィルム。
松本人志大日本人』(2007)[☆](監督週間)
フランスで一般公開されるかは怪しいので観ておくことに。インタビュー形式の冒頭15分を観る限り、一瞬「これは悪くないかも」と思わせたが、大日本人に変身後は単なるコントになってしまい、映画的価値は皆無となる(まあ狙いもあるのだろうが)。
河瀬直美殯の森』(2007)[☆☆](コンペティション・グランプリ)
22時半からの最後のコンペ公式上映を観るべく、リュミエールへ出かける。一階席はほぼ埋まっているが、二階席は空席が目立つ(半分以下の入り)。多くの人が既にカンヌを離れているとは言え、勿体無い限りだ。フィルムの方は、映画的な美しさを湛えた場面は幾つもあったし、深い森を映画の主人公に据えたような撮り方には好感を持った。だが、全体としてあまりに大人しく収まり過ぎているのが難点。グランプリを獲る作品ならば、もっと映画的な「力」が必要であるように思う。上映後はかなり長い間のスタンディング・オベーションが続き、着物姿の河瀬監督は満足そうな様子。監督のお子さんはすっかり寝入っていました。