transparence2005-12-16

9月に続いて再度ベルリンを訪れることにしたのは、この週末にフィルハーモニーベルリン・フィルウィーン・フィルの演奏会が連続して開かれるのを知って、居ても立っても居られなくなったという訳。前回の飛行機はルフトハンザだったが、今回は安く上げようとイタリア行きで何度か利用済みのイージージェット(easyJet)のサイトを見てみると、ベルリン行きは早朝6時40分発か、夕方18時5分発のみ。夕方便では20時開始のコンサートに間に合わないし、早朝便はタクシーでも使わない限り空港には辿り着けない。どうしたものかと考えた末の結論が、ミラノ経由でベルリン入りしようというもの。これを機会に念願のスカラ座訪問まで実現してしまうのだ。これも片道往復関係無く、一区間ごとに予約が出来るイージージェットならではの方法。
クリスマス休暇目前の金曜日ということもあってか、ミラノ行きはほぼ満席。イージージェットは安いだけあって座席指定も無く、飲み物機内食のサービスも無し(機内で販売される)。まあせいぜい一時間半程度のフライトだし、新幹線の自由席にでも乗っていると思えば問題無い。それにオレンジが基調のエアバスの機体は新しくて気持ち良い。イージージェットは格安航空会社のもう一つの雄であるライアン・エアほど徹底したローコスト路線ではないし、空港も比較的便利な所が多い(ライアンの場合、パリ発とは言ってもシャルル・ドゴールでもオルリーでもなく、ピカルディ地方のボーヴェ空港が使われる)。
ミラノではリナーテ空港に到着。中央駅までバスで30分ほどで3ユーロ也。ミラノの悪天候で出発が遅れたものの、天候はまずまず。実はミラノには10年前に一度来ているのだが、その時にも泊まったベストウエスタン系のホテルにチェックイン。ピザで腹ごしらえをしてオペラに備える。
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モーツァルトイドメネオ」@ミラノ・スカラ座
ダニエル・ハーディング(指揮)
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
リュック・ボンディ(演出)
ティーヴ・デーヴィスリム(イドメネオ
モニカ・バチェルリ(イダマンテ)
Rosanna Savoia(イリア)
エンマ・ベル(エレットラ)
イリアを歌う予定のカミラ・ティリングがRosanna Savoiaに変更になっていた。ハーディング&ボンディとなると、どうしてもエクサン・プロヴァンス音楽祭を思い起こしてしまい、そういう意味ではムーティが去り、ステファン・リスナー体制の冒頭を飾る公演に相応しい「イドメネオ」なのだろう。もちろんエクスとの最大の相違はオケがマーラー室内管ではなくスカラ管だということだ。響きの豊潤さは格が違う。まさに若手中心の歌手陣と指揮者をオケが巧みにサポートした上演と言える。パリでは降板の憂き目に遭ったハーディングも、ミラノでは溌剌とした指揮ぶりで大喝采を浴びていた。歌手陣で素晴らしかったのは文句無しにエンマ・ベルのエレットラ。クライマックスの狂気じみたアリアは、ドラマティック・ソプラノの本領発揮といった見事さであった。
ボンディの演出は、時代を超越した舞台設定や効果的な装置の使用が光る、シンプルながらも奥深いもので、オペラ・セリアの荘厳さを表現していた。
ちなみに、この日の公演は録画収録されていて、パリでは24日の夜にArteにて放映された。