transparence2005-12-18

寒い。ベルリンは本当に寒い。
だからといってホテルに閉じこもってては埒があかないので、まずはホテルに近いバウハウス資料館へ。建築関係の展示を特に面白く見たが、大量のポストモダン建築が建ち並ぶ現在のベルリンの迫力には劣る気もした。続いてペルガモン博物館へ。ルーブル大英博物館でも同じ感想をいつも抱くのだが、こんな巨大なものを欲しいと思いそれをわざわざ運んで再現しようなどと言う熱意は一体どこから生れてくるのだろう。
三ヶ月前以上に工事現場だらけとなったウンター・デン・リンデンを散策し、クリスマス市を覗いてから一休みにホテルに戻る。
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ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団フィルハーモニー
ズービン・メータ(指揮)
ストラヴィンスキー/「春の祭典
モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲
モーツァルト交響曲第四十一番「ジュピター」
この日のチケットはネットで予約したのだが、待てど暮らせど届かない。前日のBPOはすぐに届いたのに・・・。フィルハーモニー事務局にメールすると、郵送済みとのこと。またもやフランスの郵便局か!(既に何度かひどい目に遭っている)。未着の旨を再度メールすると、チケットを再発行しておくとのこと。無事にコンサート前に受け取りました。フランスでは大事なものは郵便で送ってはいけません。書留だからといって安心してもいけません。多くの人の手を経る分、無くなる危険性が高かったりするのです。
このコンサート、本来は前半がモーツァルト、メインが「春の祭典」の予定だったが、舞台にはフル・オーケストラが登り、登場したメータが「来年のモーツァルト・イヤーにちなんで演奏順を変更する」と告げた(と思う。大学第二外国語レベルのドイツ語によれば)。
「春祭」ではウィーン・フィルの研ぎ澄まされた音色と、メータの個性とが巧みに合体して、喧しくないストラヴィンスキーを奏でていた。後半のモーツァツトはさすがという他無い。メータの作り出す「ジュピター」は、軽やかさなど微塵も感じられない華麗で堂々としたもの。スター指揮者らしい風格をも漂わせていた。
アンコールは予定調和的に「フィガロの結婚」序曲。そもそも、同じ夜にウィーンではムーティ指揮で「フィガロ」が上演されているはず。この演奏旅行自体、ビシュコフ指揮の「ローエングリン」新演出の合間を縫って行われているようだ。改めて彼らの多忙ぶりに驚くが、同時にこの日の演奏がベスト・メンバーによるものでは無いことも事実だろう。もちろん素晴らしい演奏であったが、決して最良のウィーン・フィルでは無かったことも納得が行く。