transparence2006-01-11

ヴェルナー・ヘルツォーク『グリズリー・マン』(2005)[☆☆☆1/2] @MK2 Parnasse
キム・ギドク『弓』(2005)[☆1/2] @MK2 Parnasse
『グリズリー・マン』は、アラスカで熊の保護活動をしていたティモシー・トレッドウェルについてのドキュメンタリー。彼が撮った膨大な映像を編集した部分と、彼をめぐる人々のインタビューから成っている。野性の熊に狂信的に取りつかれ、最後は熊に食われて死んだ男の姿を描くというのは、執念と破滅を描きつづけてきたヘルツォークらしいのだが、何よりもこのフィルムが素晴らしいは、トレッドウェルが自分自身を明確に「演出」する様子が、彼の撮った映像によって暴かれていることに拠るだろう。例えば、トレッドウェルはアラスカでのキャンプ生活を共にし、そして共に熊に襲われて死んだ恋人の姿を、「自らの孤独を演出」する為に映像から排除している。
前作『うつせみ(空き家)』がとても面白かったキム・ギドクだが、新作『弓』は退屈極まりなくてがっかり。