transparence2006-04-15

今日は11時半から祝祭大劇場にてパトロン向けのプローベ。今晩のソリストであるブレンデルが聴ければ良いなあなどと期待しつつ劇場に向かう。
乗っていたバスの故障のせいで遅れそうになる。急いで劇場に駆け込むと、ラトルが英語で何か話している。「彼女は17歳で、今朝ミュンヘンから到着したばかり」などと言っていた(と思う)。見ると、舞台にピアノは無く、今夜のメインであるマーラーをやるにはオケも小編成である。さてはブレンデルがキャンセルになったので急遽ソリストを呼んだのだな、と思っているとバイオリンを持った女性が現れて、ベートーヴェンのコンチェルトを弾き始めた。ラトルが第二楽章の冒頭で一度止めただけで、あとは全て通して演奏した。ソリストは溌剌とした見事な演奏で、「これは夜が楽しみだ。だけど、プローベなのにどうして演奏後に花束を渡されていたのだろう」と思っていたのだが、後述の通り、彼女はこの夜のコンサートには登場しなかったのである。わざわざプローベの為に呼び出されたのか? そもそも彼女は一体誰なのか? もしどなたか、その場に居て、ラトルの話をきちんと聞いていた方がいたら教えて下さい。
プローベの後、パトロン・ラウンジに寄って、パトロン向けの特典CDを受け取る。中身はヤナーチェクの「ヤヌーファ」。昨年9月のベルリン音楽祭@フィルハーモニーでのライブ録音だ。この演奏はわざわざベルリンまで聴きに行ったものだけに、これは嬉しい。
午後は気持ちの良い陽気だったので街を散策する。バカンス中とあって観光客で賑わっている。大好きなバルカン・グリル(ここはいつも行列だ)のボスナを買って、ミラベル宮殿の庭園で食べて昼食にする。ホテルで一休みしてから再び祝祭大劇場へ。

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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ザルツブルグ祝祭大劇場
サイモン・ラトル(指揮)
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
マクダレナ・コジェナー(メゾソプラノ
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第四番
マーラー交響曲第四番
前半は予定通り、ブレンデルの弾くベートーヴェン。彼の演奏は深い情感に満ちていたが、少々枯れた魅力のようなものも発していた巨匠の演奏が、必ずしもスーパー・オケ、ベルリン・フィルの強度と釣り合っていたとは思えなかった。これがウィーン・フィルであれば印象は大きく異なるのであろう。
後半のマーラーは凄かった。マーラーの中では取っ付き易い曲と言われ、個人的には他の交響曲に比べると魅力の薄い曲だと思っていたのだが、ラトルは緩急自在にオケを操って、持続力に満ちた、ドラマティックな演奏を繰り広げた。メゾソプラノのコジェナーは、第三楽章のクライマックスの部分で舞台に登場。四楽章での身振りを交えた歌い方は、まるでオペラのアリアを歌うようで、この劇的な名演を見事に締めくくった。
今後、ラトルのマーラーは聞き逃してはならないと確信した。