transparence2006-04-20

来月のカンヌ映画祭のセレクションが発表された。5月17日に『ダヴィンチ・コード』(ロン・ハワード)をオープニング作品として開幕、28日のクロージング・セレモニーで各賞が発表される(クロージング作品はトニー・ガトレフ『Transylvania』)。ウォン・カーウェイが審査員長を務めるコンペティションを見ると、常連組が名を連ね、受賞結果にも目新しさを欠いた昨年に比べると、今年はヴァラエティに富んだラインナップだ。
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「公式コンペティション
アンドレア・アーノルド「Red Road」(イギリス)
ペドロ・アルモドバル「Volver」(スペイン)
ロウ・イエ「Summer Palace」(中国)
リチャード・ケリー「Southland Tales」(アメリカ)
ペドロ・コスタ「Juventide em Marcha」(ポルトガル
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ「Babel」(メキシコ)
アキ・カウリスマキ「Les lumieres du Faubourg」(フィンランド
ニコール・ガルシア「Selon Charlie」(フランス)
ソフィア・コッポラMarie-Antoinette」(アメリカ)
パオロ・ソレンティーノ「L’Amico di Famiglia」(イタリア)
グザビエ・ジャノリ「Quand j'etais chanteur」(フランス)
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン「Iklimler」(トルコ)
ブルーノ・デュモン「Flandres」(フランス)
ギレルモ・デル・トロ「El Laberinto del fauna」(メキシコ)
ラシド・ブシャレブ「Indigene」(アルジェリア
ルカス・べルヴォー「La raison du plus faible」(ベルギー)
ナンニ・モレッティ「Il Caimano」(イタリア)
リチャード・リンクレイター「Fast Food Nation」(アメリカ)
ケン・ローチ「The Wind that Shakes the Barley」(イギリス)
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今年のラインナップについては記者発表のやりとりで次のようなやりとりがあった。
−2005年の映画祭の特徴は、沢山の著名な映画作家が登場したことでした。そのことは受賞結果にも反映されていました(ダルデンヌ兄弟パルム・ドールジム・ジャームッシュがグランプリ、ミヒャエル・ハネケが監督賞)。今年もまた同じ事が言えるのでしょうか?
カンヌ映画祭とは、巨匠たちが新作を発表する特権的な場所です。今年はナンニ・モレッティ(『息子の部屋』で2001年にパルム・ドール)と『Il Caimano』で、アキ・カウリスマキ(『過去のない男』で2002年にグランプリ)と『Les lumieres du Faubourg』で、ペドロ・アルモドバル(『オール・アバウト・マイ・マザー』で1999年に監督賞)と『Volver』で、ケン・ローチ(『スウィート・シックスティーン』で2002年に監督賞)と『The Wind that Shakes the Barley』で、あるいは既にコンペティションに出品しているブルーノ・デュモンとニコル・ガルシアといった監督たちと再会することになります。しかし、コンペティション全体に関して言えば、新しい名前が登場していますが・・・。」
−それは毎年の事ではないのですか?
「はい。確かに私たちはセレクションが固定化してしまわないように努力しています。たとえ、カンヌに名声をもたらしてくれた芸術家たちに忠実である事は重要だと思っているとしてもです。そして、数年前より我々は、今日の創作における潮流を受け入れる為に門扉を開いていきました。[・・・]私たちはジャンル映画、アニメーション、ドキュメンタリーを発見し、現代の映画界、あるいは批評や観客の感覚においてそれらの映画が占める正確な位置を見きわめようとしたのです。そのことは現在は成し遂げられています。」
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この記者会見では今回を「刷新の年」と呼んでいた。今年はカンヌが新しい映画の形を発見する場としての機能してくれる事を期待したい。
今年のコンペは躍進目覚しいメキシコ映画が二本含まれているのが目に付く以外は、ヨーロッパ映画の比率が高い。「ある視点」部門を含め、日本映画の上映が皆無なのは残念なところ。