transparence2006-04-30

ラモー「プラテー」@オペラ・ガルニエ
マルク・ミンコフスキ (指揮)
ルーヴル宮音楽隊・合唱団
ローラン・ペリー(演出)
ポール・アニュー(プラテー) 、ミレイユ・ドゥランシュ(フォリー)、イアン・ブロン(メルキュール)、フランソワ・リス (ジュピテル)、ドリス・ランプレヒト (ジュノン)、フランソワ・ル=ルー(キテロン)
DVDにもなっているプロダクションの再演。プロローグで構想された喜劇が、それに続く1〜3幕で演じられるという構造を持つオペラだが、ローラン・ベリーは、これを劇場の客席で演じるという設定にすることで見事に異化している。このオペラそのものが、テスピス達がプロローグで構想する喜劇という枠組みと、シテロン王とメルキュールが仕掛ける一芝居(ジュノンの嫉妬を収める為の、プラテーをだしに使ったお芝居)という二重の構造を持っているのだが、それらを劇場の客席という舞台装置で進行させることで、入れ子状態を一層際立たせていく。しかも、その舞台装置は幕を追うごとに崩壊していき、プラテー達の住む沼の光景へと変化していく。
そうした設定上の仕掛けも面白いが、そんな事は抜きにしても様々なアイディアが詰まった楽しめる舞台だ。間奏曲でカエルの着ぐるみがオーケストラ・ピットを悪戯して回るのは愛嬌にせよ、とにかく観客を飽きさせない趣向とスピード感に満ちていて、これが18世紀半ばにベルサイユ宮殿で初演されたオペラだとはとても思えない。相変わらず躍動感に溢れているミンコフスキ&ルーブル宮音楽隊の演奏と相まって、まさに古典性と現代性とが自然に共存しえた稀有の例だと言えよう。ポール・アニューとミレイユ・ドゥランシュを始めとする歌手陣のレベルの高さとその芸達者も特筆すべき。