ダンカン・タッカー『トランスアメリカ』(2005)[☆☆☆] @Racine Odeon
長年別離状態にあった親子が、NYからLAまで和解の旅をするロードムービー。そう書いてしまえば、どこかで見たことがありそうなフィルムなのだが、その主人公が性転換手術を間近に控えているとなると、これを「どこかで見た」とは言えなくなる。主人公ブリーは女装をし「父親」であることを隠したままで、実の息子トビーの身元引受人となって一緒に旅をすることになる。
何よりもフェリシティ・ハフマンの素晴らしい演技が賞賛されるべきであるが、これが長編第一作だというダンカン・タッカーの人物造型の巧みさと奇を衒わない演出の的確さには好感が持てる。