キム・ジウン甘い人生』(2004)[☆1/2] @L'Arlequin
6区にあるアルルカンとサンジェルマン・デ・プレという二つの劇場は、作家性と商業性のバランスが取れたプログラムや、スクリーンの大きさ・観やすさ、また共にゴーモン&MK2の見放題カードが使えることもあって、しばしば足を運んでいる。地理的にも近いのでハシゴをすることもあるのだが、現在その両方で韓国映画が公開されている。サンジェルマン・デ・プレではホ・ジノ四月の雪』(主役はもちろんペ・ヨンジュン)、アルルカンではイ・ビョンホン主演の『甘い人生』だ。フランスでは当然のことながら、韓流二大スターの同時公開が話題になる訳も無い。興味深いのが『四月の雪』の宣伝コピーが「『うつせみ』に続く、新たな愛の物語」となっていること。キム・ギドクホ・ジノの作風はおよそかけ離れていると言うのに。
この『甘い人生』についても、「ル・モンド」誌がなかなか好意的な批評を載せるなど、日本のブームとは遠く離れたところで映画そのものが当たり前に受け止められている。個人的な感想を言えば、フィルム・ノワール風と呼ぶには主人公の内面的な暗さが描ききれていないし、アクションを売りにするにはジョン・ウーの舞踏性には程遠く、全体的に中途半端な印象は否めなかった。ただ、『オールド・ボーイ』でも見られたような韓国映画独特の過剰さのようなものは発揮されていて、単なるスター映画には留まらない強度は認めるべきだろう。