国立文楽劇場パリ公演 @Cite de la musique
「伊達娘恋緋鹿子」より火の見櫓の段
「壷坂観音霊験記」
人形/吉田簑助桐竹勘十郎、吉田蓑二郎
語り/豊竹呂勢太夫
三味線/鶴澤燕三
文楽を観に行くのは学部生時代以来。あの頃は国立小劇場に足繁く通ったものだった。今月、パリ北東部のCite de la musique(音楽都市)では「Le Japon, Racines et ruptures(根源と断絶)」と題して、文楽や備中神楽、沖縄の民俗音楽の公演が行われている。文楽を観るには、ここのコンサート・ホールは大きすぎるのが残念。ただ会場は満員で、思っていたよりも日本人比率が低い(一割程度か)のに驚かされる。
海外公演とあって演目は親しみやすいもの。「伊達娘恋緋鹿子」は20分ほどであっという間。文楽人形の解説と休憩を挟んで、後半は「壷坂観音霊験記」。蓑助のお里の素晴らしさは言うまでもないだろう。呂勢太夫と襲名間もない燕三のコンビは、大ホールを力強い音響で満たしていた。パリに居ながら第一級の公演が観られたのは嬉しい限り。盛大な拍手に応えてのカーテン・コールでは、黒衣を脱いだ人形遣いと大夫、三味線が舞台に並んで手を振るという、日本ではまずお目にかかれない和やかな雰囲気だった。