transparence2006-06-23

備中神楽パリ公演 @Cite de la musique
音楽都市では三日間に渡って備中神楽伝承研究会(岡山県美星町)による公演が行われている。音楽ホールと博物館に挟まれた巨大な吹き抜けの空間に特設舞台を組み、「古事記」「日本書紀」に基づく伝統芸能の見どころが一時間半に凝縮されて演じられた。最初に神事舞の内の二つが行われ(神霊の降臨を願う)、続いて「天岩戸開き」「国譲り」「大蛇退治」から最も派手で大掛かりな場面が次々と上演され、満員の客席(無料公演とは言え多くのフランス人が熱心に見入っていた。しかもワールドカップのフランス・トーゴ戦の真っ最中)からは盛んな拍手が送られていた。神楽を生で見るのは初めてだったが(学部時代に授業で文献を読んだりビデオは見た)、太鼓の力強いリズムやダイナミックな動き(歌舞伎や狂言の所作も巧みに取り入れていることが解る)には魅了されてしまった。垣間見られるユーモアからは農村娯楽の大らかさも感じられ、ハイレベルな舞台には郷土芸能の底力を見せ付けられた気がした。