transparence2006-06-24

ベルリオーズファウストの劫罰』@オペラ・バスチーユ
ロベール・ルパージュ(演出)
パトリック・ダヴァン(指揮)
ジュゼッペ・サッバティーニ(ファウスト)
ホセ・ファン・ダム(メフィストフェレス)
ミシェル・デ・ヤング(マルガリータ)
松本のサイトウ・キネン・フェスティヴァル(1999年)と共同制作したプロダクションの再演。サッバティーニとファン・ダムの男声二人は初演時と同じだが、指揮が小澤からブーレーズに師事した若手のダヴァンに、マルガリータがスーザン・グラハムからバイロイトでクンドリーを歌ったミシェル・デ・ヤングに変わっている。
ルパージュの演出は舞台背景を升目のように区切り、そこに映像を映し出すというお得意のもの。アクロバットやダンスを取り入れた演出は立体的で、バスチーユの広い舞台を最大限に活用している。舞台転換も素早く観ていて飽きないものに仕上がっていた。一方ドラマとしての説得力という面では弱い気もしたが、これはそもそも純粋なオペラとして作曲されたものではないだけに止むを得ないだろう。
サバティーニは少々押さえ気味の気がしたが、安定感と高音の伸びはさすが。ファン・ダムはその存在感が他を圧倒していた。デ・ヤングはその身体を生かした力強い歌唱で、バスチーユのような巨大劇場には向いているのだろう。ただ力ずくの部分が目立ちすぎ、繊細さに書ける歌声は好きになれなかった。ダヴァンの指揮するオペラ管及び合唱はいまいち精度に欠け、ベルリオーズの劇的ダイナミズムを表現するには至らなかった。全体として悪くは無いが標準レベルの公演といったところ。