ファリャ「ペドロ親方の人形芝居」@Theatre du Jeu de Paume(エクサン・プロヴァンス)
ストラヴィンスキー「きつね」
シェーンベルク月に憑かれたピエロ
クラウス=ミヒャエル・グリューバー(演出)
ピエール・ブーレーズ(指揮)
アンサンブル・アンテルコンタンポラン
既に2003年のエクス音楽祭で上演されたものの再演。「ペドロ親方」は人形による劇中劇が鮮やかで、見世物小屋の猥雑さも醸し出された名上演。寸劇風の「きつね」を挟んで、休憩無しで上演された「月に憑かれたピエロ」では、ソプラノのアニヤ・シリヤだけではなくブーレーズとオケも檻をあしらった舞台に登った。シェーンベルクの歌曲をグリューバーは、精神病院あたりを舞台にした一人芝居に仕立て上げた。舞台中央で動き回る本物の猿が主人公の狂気を引き立てる。クラウス=ミヒャエル・グリューバーは、「ポンヌフの恋人」の浮浪者役を演じたことで映画ファンにもお馴染の大演出家。今回の上演はブーレーズ=アンサンブル・アンテルコンタンポランというこれ以上を望むべくも無い演奏とともに、オペラ上演史に残る名演だと言えよう。

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「ぺリコールの真実の物語」@Hotel Maynier d'Oppede(エクサン・プロヴァンス)
ジュリー・ブローシェン(演出)
ジャンヌ・バリバール(ぺリコール)
オッフェンバックの「ぺリコール」をブローシェンが翻案した音楽劇。優れた役者たちを動き回らせ、古い館の中庭全体を演劇空間に仕立て上げた手腕は評価されるべきだろう。ただ、休憩無しの二時間半で「ぺリコール」を見せるというのは、観客の側にすると少々疲れる上演であったのも事実。日本でコンサートまで開いているバリバールだが、はっきり言って歌は上手くない。オッフェンバックの音楽を忠実に取り入れていたこともあり、彼女には少々荷が重すぎたか。もちろん演技に関しては、自由奔放な主人公を見事に演じきっていた。