transparence2006-10-05

ブリュノ・デュモン『FLANDRES』(2006)[☆☆☆]@MK2 Hautefeuille
ケン・ローチ麦の穂をゆらす風』(2006)[☆☆]@L'Arlequin
クリストフ・オノレ『Dans Paris』(2006)[☆☆1/2]@Escurial
三本とも今年のカンヌ出品作。受賞作品は戦争映画ばかりと言われたが、デュモン(グランプリ)とローチ(パルム・ドール)は戦争を扱いながらも、表現されているものは正反対であるように思う。アイルランド独立運動を扱ったローチが明確な「大義名分」故に苦しむ主人公を描いたのに対して、デュモンが描き出す戦争には根拠が無く、後者の方が戦争の現実を的確に伝え得ているだろう。
「カイエ」誌や「アンロック」誌の最新号の表紙を飾っている『Dans Paris』は、ヌーヴェル・ヴァーグ以来、ユスターシュ、ガレル、ピアラといった作家達が受け継いできた、軽やかさと陰鬱さが共存したフィルム作りのようなものが垣間見られる。ただ、オノレがそこに安住してしまっているところに、居心地の悪さを感じてしまった。