エフゲニー・キーシン

フランス放送フィルハーモニー @サル・プレイエル
チョン・ミュンフン(指揮)
エフゲニー・キーシン(ピアノ)
メシアン/「微笑み(Un sourire)」
モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番
デュティユー/「瞬間の神秘(Mystere de l'instant)」
シューマン/ピアノ協奏曲
生誕250年のモーツァルトと没後150年のシューマンのコンツェルトをキーシンが弾くということで、場内は満員御礼。キーシンは確固とした技巧に裏打ちされた、透明感とリリシズムに溢れた演奏で観客を魅了する。しっかりと構築された音楽作りからは、35歳にして巨匠の風格すら漂い始めたように感じた。アンコールは三曲。「トルコ行進曲」など超メジャー曲を並べたのには驚いた。
キーシンの言わば「前座」として演奏されたのが二曲の20世紀音楽。冒頭は、メシアン最晩年の作で、モーツァルト没後200年に際して、マレク・ヤノフスキの委嘱で作曲。この放送フィルが初演を行ったもの。デュティユーは生誕90年ということで、今年は頻繁に演奏されている。変容を重ねながら展開される音楽には甘美な響きがあり、現代音楽特有の取っ付きにくさは希薄である。ミョンフン=放送フィルの特長は、古典派よりも20世紀音楽の方が引き出されると思うのだが(実際、録音も多いし、そもそもオケの成り立ちからして現代ものをレパートリーの中心に据えている)、この日も、メリハリの利いた切れ味の良い演奏を聴かせていた。いつものように、客席にはデュティユーが姿を見せ、盛大な拍手を浴びていた。
なかなかバラエティーに富んだ盛り沢山のプログラムで、とても楽しめたコンサートだった。