The Queen

transparence2006-10-19

スティーヴン・フリアーズ『ザ・クイーン The Queen』(2006)[☆☆1/2]@La Pagode
『マイ・ビューティフル・ランドレッド』のフリアーズの新作は、ダイアナ妃の事故死をめぐるイギリス王室と政府の混乱ぶりを描く。記憶に生々しい出来事であり、エリザベス女王ヘレン・ミレンが好演。ベネチア女優賞)やブレア首相(マイケル・シーンがなかなか似ている)が登場するだけに、パロディになってしまうのは否めないのだが、その辺り、フリアーズはかなり開き直っているようで、コメディとしても普通に見れてしまう。だが、これが「実録政治もの」の範疇に留まらないのは、ブレア夫人が映画中で指摘する通り、女王は首相の母親の世代に属しており、お互いの肩書きや責務を超えたところでの世代間のぶつかり合いがきめ細かく描かれているからだろう。その点で、ミッテランとその伝記作家を描いた、ロベール・ゲディギャンの『シャン・ド・マルスの散歩者』(Le Promeneur du champ de Mars、日本未公開)と非常に似通った作品と言えるのではないか。