ベルリン州立歌劇場管弦楽団シュターツカペレ・ベルリン)@シャトレ座
ダニエル・バレンボイム(指揮&ピアノ)
モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番
マーラー交響曲第7番「夜の歌」
シャトレ座では、バレンボイムが手兵のシュターツカペレ・ベルリンを率いて、三日連続でマーラーを演奏する。今日はその初日。
前半のモーツァルトは、優美で格調高い演奏だったが、この日は後半のマーラーに尽きる。当初、チクルス初日の今日は九番が演奏される予定であったが、なぜか七番に変更。九番をマーラーの最高傑作と疑わない私にとっては少々残念だったが、演奏回数の最も少ない七番を聴くのも良いだろうと思い直す。結果的には、これが大当たりで、この交響曲こそコンサートで聴くべきものだと確信。
バレンボイムマーラーを聴くのはこれが初めて。思い入れの強いディープなマーラーかと思いきや、緻密でシャープな演奏に驚かされる。「夜の歌」の楽章は非常に繊細で美しい。そして、最終楽章の能天気な喧騒での昂揚感は素晴らしく、金管群の活躍もあって観客は大いに湧いていた。
「支離滅裂」とか「パロディ」などと評される七番だが、バレンボイムは徹底的に細部にこだわることで、マーラーの音響的に豊かな側面を一貫して表現しえていたように思う。ただ、その一方で「深い精神性」のようなものは希薄であった気がする。七番であったからこそバレンボイムのアプローチは成功したと言えるのではないか。それだけに、明日の五番が楽しみになった。