国立パリ管弦楽団 @サル・プレイエル
クリストフ・エッシェンバッハ(指揮&ピアノ)
モーツァルト/「フィガロの結婚」序曲
モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番
ラヴェル/「マ・メール・ロワ
ルーセル/「バッカスとアリアーヌ」第二組曲
ラヴェル/「ボレロ
ボレロ」に指揮者は必要か? そんな議論に対する、一つのあり方を実践して見せたのがこの日のエシェンバッハ。コーダに入る直前までの十数分間、時折頭を振ったり体を揺らしただけで、指揮棒を持った手は全く動かさなかったのだ。まさに指揮者とオケの信頼関係の成せる技だと言えるだろうが、その結果、ストイックな前半と、クライマックスの爆発的な躍動感とが見事なコントラストを形成していた。
日本のメディアや音楽系のブログなどで取り上げられていた通り、10月号の「Le Monde de la musique」誌には、ヨーロッパ各国の音楽メディアの投票によって選ばれた、ヨーロッパ・オーケストラ・ベスト10が発表されている。その結果で最も意外だとされたのが、アムステルダム・コンセルトへボウ管が、一位のウィーン・フィルと1ポイント差、しかもベルリン・フィルを抑えて二位に選ばれたことである。それと共に注目すべきはフランスのオケが皆無であったことだろう。ちなみに、10人の投票者の内、二人がフランス・オケを選出している。だがそれは、「Le Monde de la musique」の編集長がフランス国立管を9位、キャピトル・トゥールーズ管を10位に、同じくフランスのラジオ局「Radio Classique」のプログラム・ディレクターが9位にパリ管を挙げるという、甚だ「愛国的な」結果に過ぎない(ただし、イギリス、ドイツからの選出でもその傾向は見られる)。その他のイギリス、ドイツ、スイス、イタリア、スペイン、ルクセンブルクのメディア関係者は、フランスのオケを一切挙げていない。
今日のような演奏を聴くと、パリ管がベスト10に入らないのはいまいち納得がいかない気がしてくる。確かにウィーン、アムステルダム、ベルリンには敵わないだろうが、ロンドン響(4位)やバイエルン放送響(6位)と肩を並べうる演奏を聴かせることは少なくないし、少なくとも現在のチェコ・フィル(9位)、ロンドン・フィル(10位)よりはレベルは上のような気はする。まあ、パリに住んで月に数回はパリ管を聴いているという「贔屓目」があるのだろうが・・・。