カンヌ映画日誌(2)

transparence2007-05-17

実質的には今日が映画祭初日。最初に向かったのは監督週間の会場であるヒルトン。平行部門である監督週間と批評家週間の上映は、メイン会場のパレではなく、カンヌ市内のホールで行われる。これらの上映には一般客も入場可能なので早めに並んでおく必要がある。特に監督週間の人気は高く、マーケット・バッジでは特に入場の優先権がある訳ではないので、満員で入れないということも度々あった。オープニング作品の『Control』を観てから、パレで「ある視点」のフランス映画を観る。それから今度は批評家週間の会場であるミラマールへ。その後、マーケットの上映を観にパレに戻る、といった具合に、海岸沿いのクロワゼット通りを何度も行き来する一日だった。この移動の多さが、後々疲労の原因となるのであった。
アントン・コービン『Control』(2007)[☆☆1/2](監督週間・カメラドール特別賞)
写真家コービンの初監督作品は、ジョイ・ディヴィジョンJoy Division)のイアン・カーティスの伝記映画。病気、家庭、愛人といった物語展開は少々ありきたりだが(実話だけにやむを得ないが)、白黒スコープの映像は主人公の心情を丁寧に描き出していて好感が持てる。
・Celine Sciamma『Waterlilies』(2007)[☆1/2](ある視点)
シンクロナイズドスイミングのプールが舞台。フランスの新人女性監督ということで期待したが、少女が年上の女性に憧れるという構図は数多く見られるし、物語展開に目新しさは感じられなかった。
・Lina Chamie『A Via Lactea』(2007)[途中退出](批評家週間)
批評家週間のコンペ作品。サンパウロの交通渋滞の車内で、男の回想や空想が展開される。時間軸や話法の構造が複雑過ぎて、作り手の独り善がりがただ空回りしているとしか思えず。僅か88分のフィルムなのに、とても耐えられずに一時間ほどで途中退場。
ハル・ハートリー『Fay Grim』(2007)[途中退出](マーケット)
ハル・ハートリーなんて、何だか懐かしい名前のような気がするのだが。新作は『ヘンリー・フール』の続編とのこと。一応スパイモノの体裁は取っているが、物語展開は殆ど理解不能でほぼ破綻してしまっている。とても最後まで観る気にはなれず。